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沙羅双樹
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- 2008/08/26(Tue) -
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![]() 祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 娑羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす 奢れる人も久しからず 唯春の夜の夢の如し たけき者もついには滅びぬ ひとえに風の前の塵に同じ ご存知平家物語の一節です。方丈記冒頭の一節もそうですが、何という名言なのでしょう。人生は潮の満ち引き・・・と唄ったのは、誰でしたかしら・・・ この世に生を受けた限り、良い時もあれば悪い時もあります。どんな運命の下であれ、それを嘆いていても仕方がありません。じっと耐え忍ぶ内、やがて再び良くなることもあることでしょう。 市井に生きる人々の辛さ、哀しさを、言葉少ないけれど実に温かい目で描くことにかけては天下一品の映画監督、河瀬直美。この人の作品は、常に奈良を舞台として、ごくごく日常的なシーンを切り抜いていきます。登場人物は何かしら悲しい過去を背負っています。けれどもそれは特別なことではなく、誰にも何処にも起こり得る、ごくごくありふれたことでもあります。監督は俳優さんたちに、ほとんどセリフが聞き取れない程のかぼそい声でしゃべらせることが多いです。あれっ、今一体何と言ったのだろうと、何かとても大事なことを言ったらしいとすごく気になるのだけれど、話はそんなことにはお構いなしに次の場面へと展開して行きます。普通の劇物語は、通常読者あるいは視聴者を最終的には納得させることで完結しますが、河瀬作品は違います。答えを無理に引き出そうとはしないのです。たとえば「沙羅双樹」などは、1回観たくらいでは何が主題か解りにくいかも知れません。 http://www.kumie.jp/ja/works/feature_film/post_20/ にも拘わらず、観終わった時、清清しい勇気と言うのでしょうか、辛いことは辛いこととして再び頑張って生きてみようという不思議な気持ちに包まれるのです。ストーリーの解説などは、野暮の骨頂。ラスト、ヒロインの鮮やかな変身に強い感銘を受けたことだけを申して置きましょう。奈良に生まれた新しい伝統。バサラ祭りは、もう間もなく始まります。 http://www.basaramatsuri.com/ イタリアの後期ロマン派作曲家、ジュゼッペ・マルトゥッチ(Giuseppe Martucci, 1856-1909)。レスピーギの師匠でもありました。イタリア生まれでありながら、オペラは一つも作っておらず、指揮者としてワーグナーの楽劇をイタリアに初めて紹介、「トリスタンとイゾルデ」を初演したことなどで知られています。その彼の代表的管弦楽曲がすべて、4枚のCDに収められてBrilliant Classicsのレーベルから発売されています。同梱されているのは、2つの交響曲、2つのピアノ協奏曲、他多数の小品群など。いずれも素晴らしい作品の一言。演奏も実に堂々としています。もしもBrilliantが取り上げなかったら、ごく一部の人のみがその名を知る無名の作曲家で終わっていたかも知れません。ドイツ後期ロマン派の作品がお好きな人でしたら、これも嵌ること請け合います。 ![]() |
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長崎の朝
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- 2008/08/08(Fri) -
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![]() 北京オリンピック開幕を直前に控えて、祝典ムード一色になりかねない今だからこそ、敢えて話題に取り上げます。それは、今年管理人が一番魂を揺さぶられた音楽のお話です。 ----- 年が明けて間もない1月のある日のこと、所用があって長崎の街を訪れることになりました。長崎と言えば、切支丹を始めとして、出島におけるオランダ貿易や中国との交易などなど、鎖国時代に我が国が世界に開いた数少ない窓口であったので、歴史・地理・文化の話題や興味が尽きない魅力ある街です。プッチーニ繋がりの音楽と言う意味では、オペラ「蝶々夫人」だってあります。また長崎は、管理人が大好きなさだまさしさんの出身地でもあり、彼の作品の舞台・テーマとして度々この街の風物詩が登場しますから、管理人にとってとりわけ馴染みのある街でもあります。 もう何度も訪れているお気に入りの街、長崎。とは言いましても、次に訪問できるのは何日になるやら分かりませんから、用事が終わった翌朝に改めて市内の名所を巡って観ることにしました。定番コースですが、先ずは大浦天主堂からグラバー邸に向かいました。 だいぶ以前の話になりますが、初めて長崎を訪れたのは未だ管理人が学生であった時分で、丁度その日は日曜日の朝でした。それで、これは天啓かなと大浦天主堂のミサに出ることにしました。文字通り歴史の重みがある礼拝堂で行われたミサを体験出来ただけでも大変感動しましたが、何よりも後半讃美歌を歌う段になって、参加者の中から「次は何番をお願いします」「次は何番を・・・」と次々にリクエストの声が絶えないのに驚かされました。一体全部で何曲歌ったのでしょうか。もうカラオケにでも行ったかのように歌い続けたのです。楽譜付きの讃美歌集が配られていましたので、少しフレーズを聞けば大体どの曲もすぐに歌えるようになります。またリクエストがされるくらいですから、どの曲も美しいハーモニーに満ちた名曲ばかりでした。心がすっきりと洗われた満足感と共に、日本の西端はキリスト教が初めて広まった場所。この宗教が本当に根付いているクリスチャンの土地に来ているのだなと、その時深い感慨を覚えましたが、はたして現在の長崎はどうなのでしょうか。 グラバー邸散策の後、これまた定番コースのオランダ坂を通り抜け、唐人屋敷の界隈をぶらぶらして、長崎名物ちゃんぽんで軽い腹ごしらえ。そうこうする内に、折角長崎まで来たのだからここに立ち寄らない手はないであろうと脳裏に浮かんだ場所がありました。長崎原爆資料館です。 市電に乗って町の北側の、爆心地に程近い浦上の地にそれはあります。ここでの展示資料について子細を話すことが主眼ではありません。原爆の恐ろしさを示す数々の展示品を眺める内に、何やら静かに音楽が聞こえて来ました。初めの内はそれが何処から聞こえて来るのか分かりませんでした。地下2階の展示室を出て、もう常設展示が終わろうとする最後のコーナーから、その音楽は流れて来ていました。壁に埋め込まれた大きなモニター画面には、戦後列強の国々によって繰り返された無数の地下核実験の映像がただひたすらに流されていました。その映像には、特に解説の文字もナレーションもなく、ただひたすらエンドレスに大地を揺るがせ地表を超高速で突き走る衝撃波の様子が映し出されていただけです。国と時と実験場こそ違え、その衝撃波は決して止まることなく、何度も・・・何度も・・・ そのエンドレスの画面をじっと見続ける内に、全身が凍りつくような深い悲しみが突然襲って来ました。足元はブルブルと震え、これまでに経験したことのない恐れすら感じさせる悲しみです。おそらく単なる映像だけであったなら、そんな状態に至るとは思えません。そこに流れていた音楽が、そうさせたのだと思います。弦楽器が主体の非常にゆっくりとした曲調の音楽でしたが、これまでに一度も聞いたことはありません。一体誰の作品であるかについても皆目見当がつきません。もしも、どなたかご存知でしたら、是非御教示願いたいものです。 今日の音楽として、本来ならその音楽を掲げたいところですが、残念ながらそういう訳でここにご紹介することが出来ません。しかしながら、幾分か似た雰囲気を持つ動画を幸い見つけました。原爆資料館で体験した映像や音楽とは全く異なるものですが、ちょっとご覧になってみて下さい。なお、こちらのサイトで流れている静謐な音楽は、本ブログでも昨年6月29日にご紹介したアルヴォ・ペルトのあの作品です。 http://jp.youtube.com/watch?v=MRC5KDqpZ_I&feature=related 広島と長崎に原爆が落とされてから63年。最早それを実体験した人たちは少なくなるばかり。その人たちから直にお話を伺う機会も益々少なくなる一方です。しかし、だからこそ、それを過ぎ去った昔の話として風化させてはいけない、次代にしっかりと語り継がなくてはいけない、大事な大事な話だと管理人は思っています。 |
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金・銀・銅 (3)−オペラの夕べ
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- 2008/08/03(Sun) -
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![]() パリのほぼ中心部にあるオペラ座ガルニエは、建物の外観は無論のこと、中に入れば美しい彫刻の数々や素晴らしく手の込んだ内装にため息が出るばかりです。極上の旅の最後を飾るには、この西洋文化の粋を集めた空間にひとときを過ごすに優るものはありません。 ところで今回の旅、いつもとは異なり、もう一つ特別なことがありました。実はファーストクラスでのフライトだったのです。会社の仕事上の渡航なら、ビジネスクラスで飛ぶことはそう稀ではありません。しかしながらファーストクラスとなると流石に体験された方は少ないのではないでしょうか。と言うわけで、「金」の待遇を少しだけご紹介することに致しましょう。 先ず「銀」との大きな違いは、フライト・アテンダントがほぼお客さん一人一人に専属のように付いて、すべてをお世話してくれることです。座席は1列に4人のみ。2列だけがファーストで、その後ろにビジネスクラスの座席が何列か続きます。ビジネスは横2-3-2または2-2-2。エコノミーになると横3-3-3もしくは3-4-3ですから、雲泥の違い。それはそれは広く快適です。むしろ広過ぎて身の置き場に困ってしまうくらい・・・。アメニティ・グッズはこんな内容でした。 ![]() 確かにビジネスクラスのものよりも一段と中味の種類が多いけれど、ポシェットのデザインは「銀」の方が私の好みです。この他にパジャマが上下1着サービスで付きまして、また就寝時には羽毛の布団(毛布ではないところがスゴイ!)をかけてくれます。パジャマは使用後持ち帰りOKでしたが、サイズと色が合わなかったので頂きませんでした。 食事の方はと言えば、何よりも配られたメニューのリーフレットがエコノミーやビジネスのそれよりも断然大きいことに驚きました(笑)。 初めにアペタイザーとして出ましたのは、『ベトナム風野菜入り揚げ春巻き、生春巻きと山葵風味の牛肉のブロシェット』。(写真はパスね。この後にたくさん控えているので・・・) オードブルは3点からチョイス。シーフードが大好きなので、『スタッフドシュリンプと貝柱のグリルを細切り野菜にのせて』にしました。海外ではなかなか生野菜を安心して食べれないので、サラダにオリーブオイルをタップリかけて食せるのが何とも嬉しいです。 ![]() メインコースは4点からチョイスが可能。後にサーブされるディナー・メニューに仔羊フィレ肉とありましたので、ステーキ系はここでは避け、選びましたのは『舌平目のフィレ、ナントゥアソース添え マッシュルームデュクセル、蒸し野菜とともに』。それにしても、たった8人のお客さんのために4種類のチョイスが用意がされているのです!オーダーされなかったお料理は一体誰が食べるのでしょうか?? ![]() 写真では見た目がいまいちですが、ソースがとっても美味しかったです。 そしてメインの後は、お決まりのチーズとデザートのセレクション。もうお腹が一杯でしたので、一応こんなものを取ってみましたが、とても全部は食べ切れません。 ![]() ちなみに上記メニューはランチ・アラカルトと称されていました。通常ヨーロッパ航路では、1食目はかなりしっかりした機内食が出され、到着前にサーブされる食事は時間の都合もあり軽目のメニューであることが多いものですが、ファーストクラスではそこが違います。ディナーと称して、これまたフルコースが出ますので、ダイエット中の方にとってはむしろ拷問かも知れません。 さて、お腹はふくれたし、後はゆっくりお気に入りの音楽でも聴きながら眠るだけです。 長い夜・・・ オリンピック・・・ 北京・・・ 金メダル・・・ とくれば、誰もが自ずとあの名シーンを想い浮かべることでしょう。 http://jp.youtube.com/watch?v=tsKUfKoL44Y リアルタイムで観た時も感じましたが、今、改めてこの映像を拝見して、何か生きる喜びと勇気のような熱い気持ちが湧き上がることに少しも変わりはありません。この時の彼女の完全に音楽と一体になったパーフォーマンスは、順位や技術がどうであったかというレベルを超えて、それまで一度も見たことのない天上の華が咲き開いた瞬間を目撃したのだという想いを強く致します。そう、その時確かに何か別世界への扉が開かれたのでしょう。彼女にとっても、またそれを観る人々にとっても。 余り有名曲は取り扱わないこのブログ。この機会に、故人となられた名テナーに登場して頂きましょう。言わずと知れたこのお二方です。 http://jp.youtube.com/watch?v=CrJC7l5Pn-k http://jp.youtube.com/watch?v=RdTBml4oOZ8&feature=related そんなサワリだけでは生殺しだと仰る方、やはりオペラですからいつものCDではなくDVDに致しましょう。へたな解説は不要でしょう。豪華絢爛な舞台に個性豊かで演技力も兼ね備えた歌手陣による名唱の数々、目と耳が釘付けの至福のひとときを過ごせます。1924年作曲(ご存知のようにPucciniは「リューの死」の場面を書き終えて永眠、正しくは未完の作品です)の世界中で頻繁に上演されるこの名作も、(中国に対する偏見を生む恐れがあるという理由で)中国国内ではずーっと上演が許可されることは無かったそうです。解禁されたのは、何と10年前の1998年になってからでした。中国公演を指揮することになったズービン・メータら関係者の必死の努力もさることながら、何よりもその頃には中国側が西洋社会に向けて開放姿勢に転ぜざるを得なかったという時代の波があったように思われます。最近の出来事、四川の大地震やチベット問題のニュースにも片鱗が見えましたように、中国は未だに国際社会に真の姿を知られたくない多くの社会的政治的問題を抱えている国だと思います。この名作オペラをトリとして登場させたたことで、オリンピック記念シリーズ「金・銀・銅」の旅の報告はひとまずお開きとすることに致します。北京では一体どんなドラマが待ち構えていることでしょうか。とても楽しみです。 ![]() ああ、待ちに待った極上の休息のひととき、あっと言う間に過ぎてしまいました。明日からの仕事を考えると、とても安穏と寝ているわけにはいかないです・・・ |



























