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一度踏み入ったら出口の全く見えない音楽の深い森。森の中を彷徨い歩く内に出会った神々と妖精たちのお話です。

寒い夏の夜
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前回「梅雨明け」という記事を書いた後に、しばらく遠く離れた所へ出かけておりましたのと、近頃とても仕事が忙しくて少々間が空いての更新です。

お休みしている間に、日本では皆既日食やら芸能人の薬物使用騒ぎ等々、最近では世界陸上の話題など、連日賑わしいニュースのネタに困らなかったよう。そして、いつのまにやら衆院解散して総選挙に突入ですか。あまり国内政治の話題には深入りしないようにと留意している管理人ですが、各党のマニフェストが明らかにされ初めて知ったので一言だけ。自民党によるあのバラマキにも相当呆れたものでしたが、今度は民主党がそれ以上のバラマキ案をぶち上げています。まったく何というお寒い発想なのでしょうか。自民党に組するつもりは毛頭ありませんけれど、あの案では財政的に早晩立ち行かなくなることは明白です。全く今の日本政界に少しは骨のある政策立案者がいないのかと、帰国してから心底嘆いております。

政治の話はさて置き、お寒い話と言えば今年の夏はとても変です。梅雨明け宣言がハッキリとされぬまま(関西の場合)、彼方此方で豪雨の被害が続き、立秋が過ぎて初めて夏らしい天気となりました。そうこうする内に、夜がふけると外気もうすら寒く、秋の気配が濃厚に感じられるこの頃。一体この異常さは何なのでしょう。



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ところで狂騒の日本を後に何処に向かったかと申しますと、シベリアの大地を越えて再びKLMの本拠地であるあの街まで飛びました。作年初夏に訪欧した時は、上空からロシアの大地や北極海に流れこむ河がかなり氷に覆われているのが見えました。今回は時期が若干ずれていたとは言え、雪や氷をほとんど目にしませんでした。地球温暖化の影響で、北極海の氷が激減とのこと。その温暖化の結果を目の当たりにして、改めてこの問題の深刻さを実感してしまいました。海面に浮かぶ氷が少なくなった結果、餌となるアザラシなどが集まる場所も少なくなって、北極グマの餓死が増えているそうです。


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KLMの機内食です。近年どこの航空会社も大赤字で大変らしいのですが、これはちょっとお寒いメニューなのでは・・・。以前乗った時に比べ、サービスの低下をひしひしと感じさせられました。


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到着した空港でバゲージクレームに向う途中のスナップ。夕暮れ時とは言え、この極端に人っ気の少ない様子に唖然。これが、かつてヨーロッパの玄関口として世界に名をとどろかせたあのスキポール空港なのでしょうか。一昨年秋に来た時は、もっと活気に満ちていたのですが・・・。今回の季節は夏。既に長い休みに入っていた学校や会社もあったろうに、これも昨年秋以来の世界不況の影響なのでしょうか。しかも空港の外に出るとあいにくの小雨模様。気温も摂氏10数度と肌寒く、文字通りお寒いオランダ再訪問でした。




という訳で、本日は夏のオランダの、ちょっと寒気がする音楽としてアルフォンス・ディーペンブロック (Alphons Diepenbrock, 1862-1921)を取り上げましょう。ディーペンブロックはオランダの作曲家。アムステルダム大学で古典文学を学んだけれど、音楽に関しては全くの独学という異色の経歴の持ち主。時折、「遅れてきたロマン派」とあまり芳しくない称号を頂くこともありますが、どうしてどうしてその音楽の質は同時代の他の作曲家に比べても見劣りは致しません。

CDのジャケット・デザインが見事に表していますように、彼の代表的管弦楽作品の多くが夜を題材としています。たとえば「夜への賛歌」や「大いなる沈黙のうちに」などなど。いずれも1890年代から20世紀初頭にかけての作品ばかりで、幾分か不気味な雰囲気を漂わせながら、知らず知らずの内にロマンチシズムの夜のとばりに聴く者を閉じ込めてしまう、妖しい怪しい音楽です。きっと彼の文学的素養が、この夜の底知れぬ神秘に興味を立ち向わせるのでしょう。どんな作風かと問われれば、ワーグナー風半音進行の和声にフランス印象派の色彩感を交えたとでも評したらよいのでしょうか。いずれにしましても、R・シュトラウスともマーラーとも異なる新感覚のオーケストラ美が夜のしじまによく似合います。

実は今夜ご紹介するCD(2枚組)は、Chandosが1980年代末に発売していた音源をBrilliantレーベルが新たに版権を買い取って発売したものです。この御蔭で、価格にして約1/4以下の安価でこの名品を手に入れることが出来るようになりました。お寒い話題ばかりの本日の記事。唯一懐中が暖まる話ではありませんか。おっと、熱くなる話はこの時期禁物でしたね。

さてさて、妙に人寂しいアムステルダムの短い滞在はあくまで乗り継ぎのため。此処から先に一体何処へ飛んだかは、次回の記事を是非お楽しみに。あまり普通の人が行くことがない所です。


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