一度踏み入ったら出口の全く見えない音楽の深い森。森の中を彷徨い歩く内に出会った神々と妖精たちのお話です。

無題
Izu2


話題の「尖閣諸島中国漁船との衝突ビデオ」を見ました。全編で約45分間でしょうか。先日、それより短時間に編集されたビデオ映像だけが国会議員など30名を限定として公開(こういうのは公開と言えないと思いますが...)され、ある議員などは衝突の意図は明らかと憤慨し、一方親中派の議員などは何故か言葉を濁していましたので、本当のところはどうだったのか気になっていました。当初テレビなどに流れた映像では、確かに中国漁船側からぶつかって来たように見えるものでした。しかし、衝突事件は双方が移動している場合には自らの位置から見えた相対的な印象だけをもって判断すると事実を取り違える、あるいは意図的か無意識かは別として、誤った認識を与えてしまう可能性があることに気を付けなければなりません。

以前、潜水艦「なだしお」が東京湾で日本漁船と衝突し、漁船が沈没した事件がありましたが、この時にとても興味深い事実を述べた記事に感心したことを覚えています。仮に進路が互いに交差する直進する2つの船舶があったとします。もしも自分の進行方向に対して相手の船の見える角度が徐々に変化するのなら衝突はしない。もしもその角度が不変であるならば、それはやがて衝突することを意味するというものです。これ、図面の上で2本の鉛筆でも使って動かしてみると正しいことがよく分かります。

今回、最初にテレビなどに流れた映像(巡視船の上からビデオ撮影されている)では、いかにも中国漁船が海上保安庁の巡視船に体当たりして来たように見えました。巡視船が直進しているという前提に立った場合にはそれが正しくなります。しかしながら、こちら側(つまり巡視船)が右旋回したとなれば話は別で、同じ映像でも相手の進路を遮るように漁船の前に巡視船が出て来たので先方は已む無くぶつかってしまったというシナリオも有り得るわけです。事実、中国政府側はビデオ映像が流出した直後、そのような反論をしています。

さて事実はどうなのでしょうか。その意味で短時間に編集された映像は誤解を生むばかりで、きちんとした資料を見たいところでした。そのような状況下、海上保安庁側で撮影した映像の全編がネットに流出されました。ネットにアップロードされた元の映像は、何らかの理由により、すぐに削除されましたが、これがネット社会の怖いところと言いますか、ある意味では凄いところで、たちまちの内に様々な人たちによって録画され、次々と再アップロードされたために、もはや誰も止めることは出来ない状態になっています。


国家公務員法 第100条
第1項 「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と定められている。違反者は最高1年の懲役又は最高3万円の罰金に処せられる。


その他、公的な職務にある職員にはほぼ同様な守秘義務の制約があり、最長懲役期間は1年と同じながら罰金は「50万円」以下となっていることが多く、国家公務員よりも厳しい処罰の対象となっています。


誰がその映像をリークしたか、政府は検察もしくは海上保安庁の内部からリークされたのではなどと犯人探しにやっきとなっているように見えます。しかし、今本当に重要なことは、そのような内輪もめではありません。事実はどうであったのかを明らかにした上で、将来の中国とのあり方を真摯に検討し、冷静沈着な態度をもって交渉の場につくことだろうと管理人は考えています。


やがて削除される可能性が大ですが、敢えてここに衝突の瞬間が撮影された映像をご紹介することに致しましょう。先ずは巡視船「よなくに」と漁船の衝突から。





次は漁船を停船させようと併走する巡視船「みずき」からの映像です。





緊迫した現場の様子が手に取るように分かります。

ここで注目して頂きたい点は、船が残した白波の航跡と船の進行方向の位置関係です。漁船は2つの衝突のどちらの場合も明らかに左側に舵を切っており、体当たりを仕掛けて来ていることが分かります。もしも本当に衝突を避けようとするのなら、この状況下では減速をするか右に舵を切らなければなりません。

この時点まで管理人はてっきり巡視船は直進しているものと思っていましたが、次のもう一隻の巡視船「はてるま」から撮影された映像を見ると、実際にはもっと複雑で、「みずき」が漁船と接触する前後にジグザグに走行していることが分かります。単なる相対的な位置関係を説明するのではなく、絶対座標の中で両船がどのように走行し、衝突に至ったのかをCG化することが客観的検証に必要だと思われます。その際に航跡がかなり重要な証拠となることを指摘しておきましょう。





ただ、いずれにしましても今回の一連の映像から総合的に判断しますと、中国漁船が意図的に巡視船に向って体当たりをかけて来たことは明白です。この辺りに関して中国側に妙に配慮して事実を隠蔽するように情報をコントロールするのは、返って弱腰外交だと批判されても仕方がないのではないでしょうか。それと同時に、この衝突事件の直後に漁船に乗り込んだ海上保安庁の職員が相手側から海に突き落とされ、船で押しつぶされそうになったとか、中には2名の殉職者さえ出たけれど当局によってその事実が掻き消されたなどというカキコミをネットの彼方此方で見かけました。ここぞとばかりに面白半分有ること無いことを書き立てるのは如何なものでしょうか。もしもそれが事実なら、それこそ海上保安庁はそのことを明らかにすべきです。







当ブログは決して政治ネタを中心としたブログではなく、一応は音楽ブログ、しかも基本クラシック音楽のブログです。シリアスな事件に関する記事の後に書くのは大変気がひけるのですが、本日はこんな曲をご紹介しておきましょう。イギリスの作曲家ジョージ・ロイド (George Lloyd, 1913-1998)の交響曲第4番。ロイドはケルト系コーンウェルの出身で、その故か潮風の香る作品が多いように感じられます。全部で12曲の交響曲がありますが、第4番は作曲者自ら最もよく出来た作品であると自信のコメントが残されています。彼自身は、第2次世界大戦が始まるとまもなく海軍に入隊しました。ところが彼が巡視艇に乗り込んでいた時に、魚雷が命中し、乗組員の大半が眼前で溺死するという不運な事故に遭遇しています。1942年のことでした。これがトラウマとなってロイドは戦争神経症を患い、前線から完全離脱・除隊しました。妻の献身的介抱が無かったならば全く立ち直れなかったであろうと言われる程に精神的ダメージは深かったと言われています。そんな中、1945~1946年にかけて必死のリハビリの中で完成された交響曲が第4番。全曲演奏50分程度かかる中で、最長の約20分間を要する第4楽章がとりわけ傑作です。海上を白波けたてて疾走する軍艦はさぞやこれなんと思われる超爽快な行進曲風フィナーレが聴きものです。ロイド自身による演奏(Albanyから発売)も残されていますが、入手が容易なLyritaのCDを挙げておきましょう。


Lloyd1


何はともあれ、尖閣諸島の問題、中国の冷静な対応と日本の毅然とした態度に基づいた平和的な解決を心から望みます。(冒頭の写真は、以前に旅行で行きました南伊豆の海上から撮影した岩礁です。尖閣諸島ではありませんので、誤解ありませんように。^_^;)
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おもひでぽろぽろ
GRV

地球の割れ目、大地溝帯(Great Rift Valley)を上空から眺めたところです。左側に向かって徐々に大地が低くなっており、割れ目の襞(ひだ)が幾重にも見えています。

このような場所では雨も滅多に降らないために、眼下には森も草原も、ましてや人の住んでいる形跡は全く見えません。ただひたすら永年の時を超えた地球の営みが無言の内にそこに存在しています。



Robert Moranという作曲家の作品に「アルバニア上空10マイル Ten Miles High Over Albania」という極めて印象的なハープのための合奏曲(2007年6月2日の記事で紹介したCDに同梱)がありますが、故郷を遠く離れ、しかも地表からさえ離れた遥か上空に身をまかせると、これまでの様々な出来事が走馬灯のように脳裏をかすめ、不思議な郷愁に誘われます。


砂漠・・・薔薇・・・郷愁・・・


自然とあの歌のメロディーが頭を横切ります。「The Rose」(歌唱 Bette Midler)





カントリーロックは決してクラシック音楽のジャンルとは言い難いかも知れませんが、ルーツはアイリッシュにあることが瞭然ではないでしょうか。そしてこれを原曲として日本語で歌われた主題歌のアニメ。もう皆様、よく御存知のあの名作です。



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