一度踏み入ったら出口の全く見えない音楽の深い森。森の中を彷徨い歩く内に出会った神々と妖精たちのお話です。

行く年来る年
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2012年も残すところ後少しばかりですね。
さぞや日本の新聞やテレビ等では、「今年の出来事10大ニュース」とか、「今年他界した有名人」などといった特集が組まれているのではと想像致します。


管理人にとって今年一番のビッグ・ニュース、ありませんと言ったら嘘になりますが、益々仕事が忙しくなったことを除けば、特に大きな変化はありませんでした。否、もっと正確に申しますと、日々余りにも変動の嵐にもみくちゃにされて、多少のことでは動じなくなったというのが正直な実感です。それくらい、様々な事がありました。


これまで管理人のことを真に理解し、強く支えてくれ、か弱い足でよろけながら歩く姿を温かい眼で見守ってくれた何人かの人たちが一人、また一人と鬼籍に入られました。不思議なことに、管理人が近しくお付き合いさせて頂いた人たちは例外なく皆、昨今では当たり前になっている長命の世に似つかわしくない程に早逝されています。年の瀬の喧騒は世界の何処に行っても同じです。街中の様子が賑やかであればある程、ふと一歩先に逝った先輩や友人たちの残して行った言葉や実際の行動が脳裏を巡り、管理人の心の中に深く呼び掛けて来るように思います。いろいろと考えるところがありますけれど、この世に命あって残された者として、前に向かって進むしかありません。たとえ、それが茨に充ちた苦難の道だとしても…。








2012年はロンドン・オリンピックが開催された年でしたが、残念ながらクラシック音楽が活躍する場面がほとんど与えられませんでした。その代わりに、当ブログはこの曲で締め括りたいと思います。今年没後50周年であったイギリスの作曲家ジョン・アイアランド (John Ireland, 1879-1962)の作品「ダウンランド組曲 A Downland Suite」(1932年作)。オリジナルは吹奏楽のための作品で、イギリスのブラス特有のまろやかな響きがイギリス南部サセックス地方の穏やかな気候と雰囲気をよく表しています。





CDはこちらになります。↓


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なお、本曲はイギリス・ブラス定番の一つとして人気曲であり、また作曲者自身を始めGeorge Bushなど様々な作曲家らによって弦楽オーケストラ版やフル・オーケストラ版に編曲されました。4つの楽章から成る組曲の第2楽章Elegy for Stringsをお聴き下さい。イギリスの弦楽オーケストラは実に心に沁み入ります。





皆様に、より良き年が訪れますように。




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女子力 
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最近、二十歳を過ぎて間もないとあるお若い女子学生さんの口から「女子力」という言葉を耳にしました。この言葉、昨年まではあまり聞いた記憶がありません。一体何時頃から使われるようになった言葉なのでしょうか。


そして肝心なのは、その意味です。管理人はもう海外生活が長くなっていますので、日本の流行にはすっかり縁が薄くなっており、てっきり女性が持っている本来の力、たとえば美しさとか、たくましい生活力とか、神経のきめ細かさなど、いわゆる「女性らしさ」を指しているのであろうと最初は思いました。


実際、女性週刊誌や専門誌などでは、この「女子力」を十分に高めて、就職や仕事、男性とのお付き合いから結婚に至るまで希望のものを手に入れようという乗りの記事が今年に入ってからしばしば現れているようです。しかし、よくよく見ると、こうした雑誌等で使われている「女子力」とは、必ずしも管理人が初めに想像していたような概念ではなく、お化粧やファッションに対する意識・モチベーションの高さという意味らしいことが分かって来ました。たとえば、男性にもてるために如何に女子力を高めたらよいか、みたいな感じです。もしも、そうだとすると、お化粧品の会社や服装業界などの商業主義に踊らされた一時的ブームに過ぎない言葉に終わるかも知れません。


もっとも冒頭に書いた女子学生さんが使った時のシチュエーションでは、明らかに管理人が初めに想像したような意味で使われており、ひょっとしたら同じ言葉でも人によって理解のされ方(使われ方)が違う代表的な言葉なのかも知れません。是非とも一時的なブームに終わらない、女性だけが持っている本来の美しさ・良さが新しい社会の活力を生む、そういう真の「女子力」が根付くことを願って已みません。







本ブログでは、これまでも時々女性作曲家を取り上げて来ましたが、演奏者としてなら男性の数に負けないくらい素晴らしいソリストたちや演奏団体があるのに、作曲家となると圧倒的に男性の比ではなくなるのは一体どうしてなのでしょうか。1世紀前までの時代では、(歌手などを除き)女性が職業として音楽の道に進むのは憚られる社会的風潮が存在していたことは事実で、たとえばクララやアルマらの場合、夫であったシューマンやマーラーの心の底にあった無意識の内の男尊女卑の考え方、もっとありていに言えば芸術家としての嫉妬などが、彼女らの才能を押しつぶしてしまった感がありました。しかしながら、20世紀以降になって、そうした社会的制約が薄らいで来ても未だにその傾向が続いているように思えるのは不思議で仕方がありません。


はたして創造という仕事には女性は向いていないのか否か。これは、かなり切実な疑問です。特に女性の皆様、一時のブームに踊らされない「女子力」が問われていると思って、この問題を本気に考えてみて下さいませんか。







本日は、美貌と才能と実績、それらいずれをも兼ね備えた文字通りの才媛女性作曲家、大島ミチルさんの作品を幾つかご紹介したいと思います。彼女の作品は優美さと力強さを共に合わせ持っており、管理人にとって憧れの存在です。宮本文昭さんによるオーボエの名演奏と共に。


















クリスマス 
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ああ、本当に月日が経つのは早いもので、クリスマス・イヴですか。
今年はとりわけ忙しい日々が続き、これから来春までもスケジュールが一杯です。とにかく一つ一つ頑張って行くしかありません。


ちょっと振り返ってみましたら、この1年間に40フライト(離陸から着陸までを1フライトとする)余りを飛んだことになります。比較的近い距離から遠いものまでが含まれていますが、このすべてが国際便ですから、移動のためだけでも如何に長時間を機上か空港内で過ごしたか。それもその全部が仕事関係で、私的な旅行は含まれていません。


昨日は、溜まった洗濯物を処理し、アイロンをかけ終わったところで魔女の宅急便のキキみたいにバタンキュー。ふと気がついたら、もう辺りは暗くなっているという始末です。おもむろに起き出し、夕食の支度。いつものことですが、あり合わせのものだけで作る実に質素な食事です。とても皆様にお見せできるようなものではありませんので、代わりにオランダで買ったチョコレートの写真などを。仕事の合い間にこんなチョコを一口ほお張るだけで、疲れが軽減します。


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さて、皆様は年末年始のご計画を立てられましたか?


管理人は、多少の休日はありますが、ほとんど仕事の連続の予定。年が明けた時に少しだけ夜に開いている時間がありました。そこで頑張っている自分へのご褒美に、ちょっと奮発してゲルギエフの管弦楽作品演奏のチケットをポチしちゃいました。運良くステージに向かって正面、中央の座席が確保されました。まだ少し先の話なので、感想などはコンサートが終わってからにしたいと思います。




まだまだ大掃除や仕事の追い込みなどで大忙しのことでしょうが、管理人からささやかなクリスマス・プレゼントとしてこんな素敵なコンサート(って、管理人が企画したわけではありませんけれど...)をお薦めしたいと存じます。少し長い動画ですが、もしもお時間が取れましたら、是非ごゆるりとお楽しみ下さいませ。また画面右下のYouTubeのところをクリックされて、画面を最大化することを推奨致します。音質、画質共に最高ですから。


メリー・クリスマス!







快適な旅 
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優しそうなお兄様がお相手してくれるカウンター・バー。

さて、これはいったい何処のお店でしょうか?

[ヒント: ほらッ、向こう側に見える窓でわかりませんか。]




答え: そうなんです。これ、飛行機の中なんです!





ついに乗る機会がやって来ました、最新型ジェット機 Boeing A380 のアッパーデッキです。
前々から噂に聞いていましたが、実際に体験して驚きました。総2階建て造りのラグジュアリー空間。


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下の階はエコノミー席オンリーで、当日はほぼギューギューの満席状態。しかし、ビジネスクラス/ファーストクラス専用のアッパーデッキは結構ガラ隙でした。写真ではちょっと分かりにくいかも知れませんが、お隣り同士の座席が互い違いにずれているため、横が1-2-1の4人掛けで、お隣さんとはしっかりと仕切られており、プライベート空間が確保されています。ご覧のようにモニターのスクリーンがかなり大きいので、映画なども迫力十分ハッキリと見ることが出来ます。


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座席がリクライニング・シートなのは勿論、なんとマッサージ機能まで付いています。また、座席のすぐ脇にある小棚には飲み物などが常時置かれており、いわばミニ・バーになっています。その反対側の窓下には収納空間が十分に取ってあり、毛布やハンドバッグなど身の回りのものを仕舞って置けます。


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そしてお休みタイムになると、フライト・アテンダントさんが一人一人マットを引いてくれて、いつでも睡眠モードに突入可です。座席はフル・フラットからやや傾斜がついた状態など、ボタンひとつでお好みの角度に調節出来ます。


実は今回乗った路線はエミレーツ航空のドバイ-東京間なのですが、他社のビジネスクラスの座席よりも遥かに身体が楽に延ばせるような気がしました。


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機内食の一例です。管理人は和食を選びましたが、サービスは洋風の2種類(ビーフまたは鴨肉など)か、和風の3種類の中からお好きなものをチョイスとなります。ワインを始めとして、その他各種アルコール類も品揃えは豊富です。


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食事が終わりましたら、後はお休みタ~イム。キャビン内の光も落ちて、乗客たちが静かな寝息を立てる頃、天井を見上げれば、星の数々が瞬いているではありませんか。このサービスは前機種のBoeing 777でもありましたが、この新型機種にも採用されており、ちょっと幻想的で、とても気に入っています。星空を眺めている内に、いつしか夢の世界へ。。。


スー、スー ... ...





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タップリと睡眠が取れた頃、先ずはお目覚めの手や顔を拭く熱いタオルのサービスがあり、2度目の機内食サービスがこれ。またまた和食をチョイスです。少しは変わり映えのするものを頼んだら良いのにと思われるかも知れませんが、何せ日本食に飢えていますので...。お蕎麦に、タラコに、大根おろし、煮魚...。もう、言うことありません。






と、実に快適なA380のアッパーデッキ初体験記でした。

あっ、誤解されるといけませんから、ちゃんとお断りしておきますが、管理人だっていつもいつもこのような贅沢をしている訳ではありませんよ。大概はエコノミークラスでの移動で、ほんの時々の幸運なのです。







クリスマス休暇前の年末で、皆様もお忙しいでしょうから、本日はこんな音楽は如何?

Dinu Lipatti(p)演奏によるスカルラッティ(Domenico Scarlatti, 1685-175) ホ長調ソナタ K.380









選択の難しさ
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いよいよ師走も大詰めですねぇ。管理人、只今仕事が大忙しのため、なかなかブログを書いている時間が取れなくて済みません。


いろいろと用事が重なり、少しの間、日本に戻ることが出来ました。新幹線に乗っている間にお昼を済ませようと駅弁を買ったのですが、その多彩さに選ぶのに何分もかかってしまいました。だって、どれも美味しそうだし、ただでもいかにも日本食らしい様々な食材に出会って感激してしまって、こちらにしようか、あちらにしようか、悩みに悩んで、写真のお弁当にしました。


さて、お箸を手に持ってどれから食べようかなと改めておかずをじっと見ましたら、これがどれから手をつけるか悩ましいこと悩ましいこと。笑われそうですが、一番好きなものは最後に取っておきたいではないですか。皆さんは、お気に入りから箸をつける方ですか。それとも最後に取っておく方ですか。兄弟姉妹がたくさんいる御家庭かどうかで決まると誰かが言っていたような気がしますが、管理人は後者の方なのです。最後に残しておいたものは秘密として、最初にお箸をつけたのは左端のお新香巻きでした。





まあ、お弁当の話などはともかく、世間は管理人の周囲に起こる様々な出来事よりも遥かに早いスピードで変わっていくようで、我が国を始めとして、世界のあちこちで新しいリーダーが決まっていきましたね。何の話かって?


これですよ、これ。↓


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お隣の国の結果も時代が変わったことを痛感致しますが、何より我が国の方です。遠いところから、文字通り隔靴掻痒の気持ちで、この数年間の日本の政治の変遷を眺めていましたが、関孝和のセリフ(*注. 映画「天地明察」に登場する関孝和のセリフです)を借りるならば、

「このバカものが!」

と某党を思い切りなじりたい気持ちが一杯です。党の名前を踏みにじる内部抗争と公約破りを繰り返し、挙句の果ては「年を越せば(結果は)もっとひどくなる。年内にやるしかなかった」などとのたまったそうではないですか。社会主義や共産主義などを是とする万年野党化してしまった左翼政党支持層が、冷戦終結後、大幅に後退し、少なくとも健全な複数野党の存在による新しい型の日本の政治形態が模索される絶好の機会だったのに、実に子供じみた拙策の数々で自ら崩れ落ちて行きました。今回がたまたま選挙において敗北したという話ではなく、このような形で国民の期待と信頼を失ったことの重大さに当の政治家たちがもっと早くに気が付かなければならなかったのに、目先の利害関係に捕われて展望を見失ったのは明白です。そしてその決定的なダメ出しを確定させたのが、某N氏であることにご当人や側近たちは未だに気が付かないのでしょうか。





済みません、ちょっと興奮して筆が走ってしまいました。それにしても、今回の選択の反動が心配です。小選挙区制の弊害が、この10数年の間に一気に吹き出してしまったように感じるのは管理人だけなのでしょうか。一番最後に取っておきのものを残しておくという優雅な選択肢があるような選挙制度って、実現できないものかしら。






イギリスのテクノ・ミュージックの旗手 Aphex Twin のアルバム「Selected Ambient Works Vol. II (1994)」から「Lichen」という音楽を。ご興味がありましたら、ネットで調べてみて下さいな。






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