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一度踏み入ったら出口の全く見えない音楽の深い森。森の中を彷徨い歩く内に出会った神々と妖精たちのお話です。

吹雪
SST1


つい先日も雪かき中に屋根から滑り落ちて人が亡くなったり、また列車が雪で立ち往生というニュースがありました。この冬の日本は例年以上に降雪量が多いように思われます。寒波が日本海を覆うように張り出した時、西高東低の典型的な冬型気圧配置となった時、日本海海上から吸い上げた膨大な水分が西方(または西北方向)からの強烈な風に乗って日本列島に向かって運ばれ、2,000~3,000メートル級の山々に阻まれて大量の雪となるのです。


最近はシベリアの大地に果てしなく続く雪と氷の風景を遥か上空の機内から眺めるばかりですが、実は当ブログ管理人、雪国に数年間ほど住んだことがあります。直前まで熱帯の熱い国に居住しており、丁度秋から冬に入る頃に北国のある地方都市に赴任することになりました。さてこれからどのような新しい生活が待ち受けているやらと期待と不安を交互に胸に抱きながら新天地に馴染もうと必死に頑張っていたら、11月の中旬でしたか突然の大雪となりました。道路は瞬く間に雪に覆われ、購入したばかりの自動車(軽)のタイヤ交換を大慌てでガソリンスタンドに依頼したのも生まれて初めての経験。どうやらその冬は例年になく雪の当たり年だったようで、一晩に50cm以上も積もって車を駐車場から出せなかったことや、スリップして道路際の雪だまりに突っ込みあわや事故寸前という経験をしたことも。また仕事場の窓からふと外を眺めたら、雪が真横から、と言うよりも、まるで下から吹き上げるようにもの凄いスピードで流れて行く光景を目の当たりにして、到頭地の果て(笑)まで来てしまったなと少し後悔したことすらも。結局、雪国での生活は3年余りで切り上げとなり、再び日本を飛び出して海外へ向かうことになりましたが、今となっては懐かしい想い出です。






今日は、そんな管理人の想い出に関連した音楽の紹介です。ロシアの作曲家ゲオルギー・ヴァシレイヴィッチ・スヴィリードフ (Georgy Vasilyevich Sviridov, 1915-1998) の作品「吹雪 The Snow Storm 」(プーシキンの物語への音楽の挿絵) です(1975年作)。本曲は、プーシキンの恋愛小説「吹雪」を基にした映画のために付帯された音楽より抜粋された一種の組曲で、全9曲から構成されています。第二次世界大戦終結後、彼の師匠であったショスタコーヴィッチらが晒されたいわゆる社会主義リアリズムに反するとされた音楽が指弾されたジダーノフ批判の時代をくぐり抜けて来た経歴があるにも拘わらず、敢えて一見古風な、まるでチャイコフスキー時代の正統的ロシア音楽に回帰したような音楽(実際はかなり進化)です。各曲とも大変聴きやすいロマンチックな音楽ですので、最初に挙げた第2曲「ワルツ」がお気に召しましたら、是非とも次の全曲版(全9曲で演奏時間は約30分)をお聴きになることをお薦め致します。








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ある時計職人の音楽
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自分で言うのもなんですが、当ブログ管理人はものを大事に使います。お気に入りを長く大事に使用することは決して悪いことではないと思うのですが、その結果身の回りのものが増える一方となり、いつも保管する場所探しに苦労しています。CDなどはその最たるもので、お気に入りであれば、それこそ摩耗(?)するくらいに何度となく再生しますし、一度か二度聴いてあまり面白く感じられず、もはや再生することはないかも知れないというものであっても、なかなか処分することが出来ません。


そんな管理人が長らく使っていた愛用の腕時計(自分用としては生まれてから2台目)が昨年に到頭故障してしまいました。買った初めの頃こそボタン電池が切れたら時計屋さんに交換をお願いしていましたが、やがて自分で裏蓋を開け交換することを覚え、それを何度も繰り返しました。行く先々で時差合わせをしたためか、あちらこちらが弱っていたのでしょう。ある日のこと、時差調整のために針の調節ねじを少し強く引っ張ったら、ポロッと抜けてしまい、どうにも元に戻らなくなったのです。


というわけで、久々に新しく腕時計を購入。これが管理人の身の回りで最近起こったニュースと言えばニュースです。実に地味でしょ。。。


それにしても、今時の腕時計。上には上があるのでしょうけれど、相当な機能が備わっているにも拘わらず、結構お安いのですね。前に使っていたものよりも正確、しかもデザインが素敵で軽量なのに、お値段は半分以下ではなかったでしょうか。技術の進歩? それとも大量生産が可能となったから? いずれにせよ、出費が少なくて大いに助かりました。





話は変わって、皆様の初夢は如何でしたか? 枕元で見た夢も大事ですが、現実生活の上で持っている夢。それがもっと大事です。


そこで本年最初の音楽は、久し振りに吹奏楽の分野から選択してみました。スコットランド出身の作曲家ピーター・グレーアム (Peter Graham, 1958-) の作品「ハリソンの夢 Harrison's Dream」。 吹奏楽の超難曲の一つとして知られ、コンクールの自由曲として国内外の数多くの団体が果敢にも挑戦、演奏しています。ここでは本場英国の団体の演奏を紹介しておきましょう。


ところで、何故に「ハリソンの夢」かって申しますと、本曲は18世紀のイギリスの著名な時計職人 John Harrison (1693-1776) をテーマにして作られた音楽であることが案外知られていないからなのです。Harrison氏は木工職人の父親の元に生まれ、父の仕事を手伝いながら20才になった時に木工で製作した時計が評判となり、やがて時計製作者として一目置かれる存在となります。バイメタルの発案者であり、また15世紀末以来急速に発展した大航海時代を経て、長い航海にあっても正確で、かつ経度を正確に測定できる時計型クロノメーターの発明者と言えば、彼の才能が並外れていたことが分かるでしょう。


その彼が、生涯に亘って追い求めた夢。それは、今までに見たこともない、より正確な時計作りでした。1760年にジャマイカ島への航海に携帯型の時計で試験したところ、61日間にたった45秒の遅れという優れた性能を示しました。一旦はイギリス政府から20,000ポンドの懸賞金を約束されたにも拘わらず、彼が庶民の出身であったこともあり、時の有名天文学者らや議会からも測定方法などについて難癖が付けられ、追加試験を要求された上、挙句の果てはごく一部しか報奨金が支払われませんでした。こうした逆風にも耐え、1764年に製作した時計を用いてバルバドス諸島への5ヶ月間の航海で調べた結果は、誤差が何と15秒だったそうです。また1773年に行われた実験によると、1日当たりの誤差が1/14秒しかなかったとのこと。その時代の技術レベルを考慮しても、これは驚異的な数値です。こうした結果を踏まえ、最終的にはJohn Harrison氏の時計の正確性を議会も正式に認め、懸賞金の残額が全て支払われることになりました。そんな彼の名前を曲名に付けた本作品。Peter Graham氏の強い想いが秘められていることを、是非感じ取って頂ければと思います。

[注. 現在、彼の名前が冠されている時計メーカーがありますが、同社とHarrison氏には直接の関係はありません。Harrison氏の名声を借りて社名を付けたものと思われます。詳しくは別途お調べ下さい。]








謹賀新年2017
HNY2018


公私共に慌ただしかった2017年も過ぎ、新しい年を迎えることと相成りました。本ブログ、幾度となく中断しながらも、到頭丸10年以上続けたことになります。相変わらず時間を見つけては大好きな音楽を聴いているのですが、記事を書く時間がなかなか取れず、更新の頻度がこのところ極端に落ちていることを大変申し訳なく思っております。にも拘わらず、本ブログに度々目を通される読者の皆様がいらっしゃるようで、心から御礼申し上げます。何とか時間を作って有名ではないけれど素晴らしい名曲を紹介しながら、日頃考えている事柄や普通の方々があまり訪れることがない世界・国内の様々な土地の紹介をしたいと思いますので、何卒よろしくお願い申し上げます。




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