タンゴの節句
- 2008/05/05(Mon) -
Elgar3



ファンタジー小説というものは、子供の時に読めばもちろん面白いけれど、大人になってから読んでも面白い。いや、大人だからこそ、その自由な夢の世界に入り込むことが無性に楽しいものです。

1865年に出版された『不思議の国のアリス (原題‘Alice's Adventures in Wonderland’)』の英語原典版は、John Tenniel (1820-1914)の手による有名な挿絵もさることながら、原語だけが持ち得る言葉遊び(いわゆるpun)の面白さがとことん味わえて、ことの外痛快です(ペンギン・ブックから入手可)。


海ガメモドキ(Mock Turtle:顔が仔牛で身体が亀の想像上の生き物、海ガメの代わりに仔牛を使ったスープをもじっている)が、アリスから「海の学校」でどんなことを学んだかについて問われて答えているくだりです。


「はじめは、這い方(Reeling)と悶え方(Writhing)からだったね」海ガメモドキは答えました。
「次は算数の四則だ。野心(Ambition)、動揺(Distraction)、醜怪(Uglification)、愚弄(Derision)を学ぶんだ・・・」
「わたし、醜怪なんて聞いたこともない」アリスは思い切って口をはさみました。「それって、何をやるんですか?」
グリフォン(海ガメモドキの名)は驚きのあまり、両前足をふりあげて叫びました。「いやはや! 醜怪を聞いたことがないとは!じゃあ聞くが、美化は知っているかね?」
「はい」アリスはためらいがちに答えました。「それは・・・何かを・・・きれいにすることです」
「うむ、その通り」グリフォンは続けました。「それなのに醜怪がわからないのは、お前さんが間抜けってことだよ」
アリスはそれ以上醜怪について尋ねる気をなくしてしまい、海ガメモドキに向きなおって言いました。「他には、何を習ってたんですか?」
「そうだね、謎(Mystery)というのがあったね」海ガメモドキは科目名をひれ折り数えながら答えました。「古代の謎と現代の謎に、海洋学(Seaography)、それから話術(Drawling)・・・話術の先生はお年寄りのアナゴで、一週間に一度来ていたね。この先生は僕たちに、話術と体の伸ばし方(Streching)と、とぐろを巻いて気絶するやり方(Fainting in Coils)を教えてくれたのさ」


つまり、これ、読み (Reading) と 書き (Writing)、それから各々足し算 (Addition)、引き算 (Subtraction)、掛け算 (Multiplication)、割り算 (Division) を引っ掛けているのですね。その後の単語は何をもじっているか、お分かりになりますか?このような面白さを、いくら工夫して日本語に翻訳しようとしても出来るものではありません。言葉遊びだけでなく、イギリス人特有のユーモアで皮肉がタップリ込められているからです。原作者ルイス・キャロル(Lewis Carroll)こと本名チャールズ・ドジソン (Charles Lutwidge Dodgson, 1832-1898) の本職が学校の教師で、かつ数学者でもあることを知っていたら、余計にこのくだりが笑えます。


え、いくらファンタジーだからって、これだけ難しい言葉が並んだら英語で読むのは無理ですって?


そうですね。あまり頭の痛くなる話題は早々に切り上げることにして、早速今日の音楽に致しましょう。今日は端午の節句だから、きっとアルゼンチン・タンゴだろうと予測された方。残念でした。本日のテーマは、単語の・・・(^o^)

くだらない洒落はさて置き、本日はごくストレートにエルガー (Sir Edward Elgar, 1857-1934) の『子供の魔法の杖組曲 Wand of Youth Suite』です。作曲者が子供であった10才頃に姉たちと一緒に創作劇を上演したことがありました。その劇にエルガーは音楽をつけ、旋律を書き留めて置いた台本を大事に取っていたのです。それから40年近くも経ってから、その台本に残していた音譜を元に管弦楽作品として仕上げました。その当時、エルガーは第1交響曲に着手しようとする直前で、彼の創作意欲が最も充実していた頃でしたから、実に立派な作品に仕上がっています。しかも作曲時50才であったにも拘わらず、イギリス人らしいユーモアからなのでしょうか、この曲に自分で作品番号1番と付けています(組曲No.1とNo.2がそれぞれ作品番号1a、1bになっています)。それまで1番の番号がどうなっていたのかは不明です。わざと空けていた??そうだとしたら、エルガーの凝り様は相当なものです。エルガーは謎とかミステリーが大好きでしたからね。

ところで、この劇の内容ですが、妖精や蝶々や蛾、そして巨人らが住む(子供たちのためだけの)夢の世界があって、そこには邪な心を持った大人たちは決して入ることが出来ない。けれども魔法の杖の力があれば、その世界を旅することが出来る・・・そういうお話らしいです。組曲では、それらの登場人物や生き物たちが活き活きと描かれていて、まるでバレエ音楽のように美しい。エルガー特有の高貴さが溢れる旋律美も十分にあり、このような音楽で日々の疲れを癒す休日も実に好いものです。ちなみに作曲者ご本人による歴史的な録音がEMIに残されています。ですが、今日聴いたら、やはり録音が余りにも古い。ここでは、比較的新しい録音で、かつ演奏も本格的な盤にお出まし頂くことに致しましょう(CHAN 10422 X)。世評高いボールトのCDよりも音が瑞々しく、しかもジャケットの図柄が可愛いです。


Elgar2
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コメント
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いいねぇ〜。ファンタジーワールド。
そういえば、ナルニアの続きが今上映されてるんだったっけ。この間の世界不思議発見!ではコッツウォルズが取り上げられていました。
あ〜〜この記事を読んでたら、またイギリスが恋しくなってしまいましたよ〜。どうしてくれんの!
コッツに連れてけ〜〜〜!笑
スコーン食わせろ〜〜!
イングリッシュガーデンでアフタヌーンティーしたい〜〜〜わああああ!!(病気)
2008/05/26 14:48  | URL | hime #-[ 編集] |  ▲ top

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>himeさん

>ナルニアの続き

全7章の内、やっと第2章ですね。「ロード・オブ・ザ・キング」や「ハリポタ」がどんどん続編が映画化されているのに、これだけ遅いのは何で?気になるにぁ〜。笑

>連れてけ〜〜〜!
>食わせろ〜〜〜!

これこれ、あまりはしたない言葉を使ってるとスコーン(scorn)されちゃうよ。
それよりhimeさんのスコーン(scone)食べさせてくれ〜〜〜! (^_^)

それから、コッツには私も行きたいけれど、またガチガチのフランスパンなのじゃ。それでもいい?(謎)

2008/05/27 20:53  | URL | RAM #YuxmqlV2[ 編集] |  ▲ top


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