一度踏み入ったら出口の全く見えない音楽の深い森。森の中を彷徨い歩く内に出会った神々と妖精たちのお話です。

ひざがわり
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パリのシャルル・ド・ゴール空港内ターミナル2E にあるラウンジルームの奥の方にある休息コーナー。


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もっと身体を横にしたい時には、このようなフラット・ベッドも。長いフライトでひざや腰が痛い時、あるいは出発便や乗り継ぎ便までたっぷりと待ち時間がある時は、こうした空間があると助かります。


アムステルダムのスキポール空港内、ターミナルFの近くにあるラウンジルームにも奥の方にこのような横になれる休憩室があって、ちょっとした仮眠が出来ます。入り口が分かりずらいので、意外とその部屋があることをご存知ない方も多いみたいです。ガラスの壁のように見えるところを押すと、その空間になっています。難点は、発着のアナウンスが無く、とても静かなのは良いのですが、照明が落としてあるため、つい熟睡して乗り遅れてしまう可能性があることでしょうか(笑)。それと、お部屋の温度が低目にコントロールされているので、コートとか何かを羽織っていないと寒くて眠れないことでしょうか(案外これが乗り過ごし防止策だったりして・・・)。





AFL3


先日利用した時の早朝(午前4時頃)のシャルル・ド・ゴール空港ターミナル2EゲートK付近。日中なら人でごったがえしている筈のホールに全く人の姿が無くて、ちょっと怖いくらいでした。世界のあちこちに出掛けると、いろいろな体験が出来るものです。





話は変わりまして、これも先日機内で鑑賞した映画の話題です。上映館で観たとかいう新作のお話でなくて恐縮ですが、とっても面白くて、それでいて最後は思わずホロりとさせられて、ここにご紹介させて頂きたいと思いました。多分ロードショーとかは終了していると思いますので、テレビなどで放映がある時か、DVDでのご鑑賞をお薦め致します。


作品は、落語の前座修業について9年と5ヶ月間。その間、二つ目への昇進も後輩たちに追い抜かれ続ける、とある冴えない前座さんの楽屋での1日がテーマです。こちら↓をご参考までに。


http://tokyo-teyandei.com/


いろいろな俳優さんたちが、入れ替わり立ち替わり個性豊かな芸人さんを演ずるのですが、まるで本物の噺家や色もの師であるかのように見えてくるのが、如何に御商売とはいえ実に見事です。寄席の世界についてあまりご存知ない方にも、かなり実像はあんな感じなのではないでしょうかとの説得力があり、神田祐司監督が撮った初作品とはとても思えない程に上出来です。ピア初日満足度ランキング第1位!というのも納得です。


この映画は、寄席の番組進行についての予備知識があれば、より深く楽しめると思うのですが、その中で一つ「ひざがわり」という言葉について、今日はご紹介がてら注目してみましょう。


通常、寄席の番組は前座さんたちから始まって、次に二つ目、そして真打ちの登場となります。途中で入る休憩を「仲入り」と呼びます。相撲でもありますね。「仲入り」は「中入り」と書いても間違いではありませんが、「人が中に入るように」と「仲入り」と書くのがよろしいようで・・・。お客様商売ですから。。。


仲入り直前やその日の興業の最後に登場する真打ちの噺家などを主任と呼びます。いわゆる「トリ」ですね。このトリが出演する直前の役割を務めるのが「ひざがわり」です。一般にトリの演目は落語のことが多く、大御所の噺家さんが時には30分以上のネタをご披露しますから、その前に同じような落語が連続すると少々飽きてしまう恐れがあります。それでお客様の目線を少しずらして変化をもたせ、次のトリの噺家さんがやり易いようにするのがこの「ひざがわり」の役目で、髪切りやら音曲やら奇術など立ち役の芸人さんが務めることが多いです。


この「ひざがわり」は、次の「トリ」を引き立てるのが本来の役目ですから、あまりやり過ぎてもいけなく、その場の空気を読んで場合によっては時間調整の必要などもあって、真の実力がなければ務まりません。もちろん前座が「ひざがわり」を務めるなぞということはないわけです。師匠である小松政夫が演ずる噺家のトリが弟子(ノゾエ征爾が主演)に向かって、「俺のひざがわりを務めてこい」と命じるのは、その時点で前座から二つ目に昇進したことを意味しているわけなのですね。


他に下座(げざ)のお囃子音楽として三味線弾き役の黒田福美さんや独楽廻し役の村木藤志郎さんなどなど、登場する皆さんの板に付いた演技が光っています。







さてさて、ここまで、まるで生前の立川談志さんによる高座のように長い枕を振りました。本題に入りましょう。クラシック音楽のコンサートで「ひざがわり」に近い役割の人物と申しますと、トリとして大曲の交響曲を振る指揮者の前に登場する協奏曲のピアニストやヴァイオリニストがそれに当たるのではないでしょうか。


もちろん、ソリストたちが真打ちに値しないという意味ではありませんので、誤解がありませぬように。ブラームスの第2Pコンや、ラフマニノフの第3Pコンのような大曲を大御所のピアニストが弾く場合なら、それだけでトリになりますが、一般的に多くのコンチェルトは序曲や組曲のような短めの曲の次にプログラムされています。後ろに大真打ちが控えているような状況下で、拍手喝采を得なければならないのですから、大変です。それでも寄席と違っているのは、トリを食ってしまっても構わないのですから、そこがちょっと異なるでしょうか。


本日は、「ひざがわり」の作品をご紹介しましょう。やがて色光ピアノを採用することを企図した交響曲第5番「プロメテ−火の詩」を作曲したロシアの作曲家アレクサンドル・ニコラエヴィチ・スクリャービン(1872-1915)が若い時に作ったピアノ協奏曲嬰ヘ短調 Piano Concerto in F-sharp minor, op. 20 (1897年作)です。同じ色ものでも、これはなかなか出色な作品です・・・なーんて言ったりして。(^_^)  


お後がよろしいようで。




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