一度踏み入ったら出口の全く見えない音楽の深い森。森の中を彷徨い歩く内に出会った神々と妖精たちのお話です。

ハッピー・ハロウィーン!
PMP2


やって来ましたハロウィーン! この季節、この行事を境にみるみる気温が下がり、晩秋、そして本格的な冬の到来、と同時にクリスマスを迎えることになるので、やはり何か書いてみたいと思います。


少々古いお話ですが、管理人が一念発起して米国で働いてみようと渡米したその年の10月下旬です。午後の休憩時間に新しい職場の先輩たちが、このハロウィーンをどう迎えるかの話に花が咲いていました。興味津々で耳を傾けていると、突然こちらを振り向いて

Are you already prepared for Halloween?

と訊いて来ました。多少は聞きかじりの知識はあったものの、「準備って、いったい何を?」と答えにまごついていると、一人が真顔で、「近所の子供たちが集団で家々を全部回って来るわよ。そして彼らが『Trick or Treat』と言った時に、もしも十分量のキャンディーやチョコレートなどを上げなかったら、とんでもない悪戯をされるから大変なのよ。それだけお菓子を用意しときなさいってことなのよ」と脅すではありませんか。


確かに10月に入ると、どこのスーパーに行っても、お店中が橙色一色に染まると言って良いくらいハロウィーンのデコレーションと商品で一杯になります。特にキャンディーなどは山のように積み上がっいて、キロ(ポンド)単位で売られたりします。変な悪戯をされたら大変と、お菓子類を買うことに決めたのは好いけれど、さて困ったのが一体どのくらい用意したら良いのか皆目見当もつきません。不足するよりは余るくらいの方が好かろうと十分量のキャンディー類を買い揃え、さて本番の当日を迎えることになりました。


さあ、皆さん、どうなったと思います?


こちらはどんなに多数の子供たちがやってくるかと、ワクワク・ドキドキしながらドアを眺めて待ち構えていたのですが、待てど暮らせどベルの音もノックの音も聞こえて来ません。結局、その日は夕方頃に一組の小さな兄妹がベルを鳴らして両手に持ちきれないほどのお菓子をもらって行っただけで、他には誰も来ず。ちょっと肩すかしを食らったような感じで、正直ガックリしてしまいました。


翌日、職場の先輩たちにそのことを話すと、「あなた何処に住んでいるの」と訊かれ、「コンドミニアム」と答えたら、「それなら子供たちなんか来るわけないわ。だってセキュリティー・チェックがあるから、外から誰も入れないもの」と大笑いされてしまいました。確かに警備の人がいつも敷地のゲートの所に立っていて、構内に入る車や人をすべてチェックしています。言われてみれば納得ですが、どうやら新人をいっぱい引っ掛けてやろうと、必要以上に大げさに子供たちの悪戯の怖さを強調したのが真相と分かりました。正に本番前にTrickされてしまったわけです。


そして後に分かったことですが、『Trick or Treat』が文字通り良き風習として残っていたのは、あくまで古き良きアメリカの時代まで。管理人が渡米した頃には、既に都市部の治安が益々劣悪化し、犯罪も一段と凶悪化しており、たとえ明るい時間帯とはいえ、子供たちだけで見ず知らずの他人の家を訪問するのは危険過ぎるとして、その風習自体が全米的に無くなりつつあったのです(もちろん地域によっては根強く残っているところもあると思います)。本当残念な話ですよねぇ。






ハロウィーンに相応しい音楽と言えば、こちらで初めてご紹介しましたのが、「真夜中のイサベラ」。(2007年10月28日の記事) でも今日は、全く違う曲をご紹介致しましょう。


フランスの作曲家アドルフ=シャルル・アダン(Adolphe-Charles Adam, 1803 - 1856)のバレエ作品「ジゼル Giselle」(1841年初演)です。2幕もののストーリーを簡単にご紹介しますと(ウィキペディアから抜粋)・・・


第1幕

生まれつき心臓が弱いけれど踊りが大好きな娘ジゼルが暮らしている村に、ある時貴族であるアルブレヒトが身分を隠してやって来る。ロイスという偽名を使って近づき、ふたりは想いを通わせるが、ジゼルに恋していた村の青年ヒラリオンは面白くありません。彼はアルブレヒトが小屋に隠していた衣装や剣を見つけ、村の青年ではないことを確信して、その剣を持ち出す。

ある時、ジゼルの村にアルブレヒトの婚約者、バティルドの一行が狩の途中に立ち寄る。村娘ジゼルとバティルドはお互い結婚を控えているもの同士として仲がよくなる。その後、ヒラリオンが持ち出した剣により、アルブレヒトの身分が暴かれてしまう。アルブレヒトは混乱するジゼルを必死になだめようとするが、ヒラリオンは更にバティルドと公爵を連れて来る。もはや誤魔化しようのなくなったアルブレヒトは、公爵に礼を執り、バティルドの手にキスをする。それを見たジゼルは狂乱状態に陥り、母ベルタの腕の中で息絶えてしまう。ヒラリオンとアルブレヒトは互いの行為を責め合うが、村人たちやベルタに追い出されるようにアルブレヒトは退場する。


第2幕

森の沼のほとりの墓場。ここは結婚を前に亡くなった処女の精霊・ウィリたちが集まる場所である。ジゼルはウィリの女王ミルタによってウィリの仲間に迎え入れられる。

ジゼルの墓に許しを請いにやってきたヒラリオンは、鬼火に追い立てられる。ウィリたちは夜中に迷い込んできた人間や裏切った男を死ぬまで踊らせるのである。ウィリたちがヒラリオンを追う間、ジゼルを失った悲しみと悔恨にくれるアルブレヒトが彼女の墓を訪れ、亡霊となったジゼルと再会する。

ヒラリオンはウィリたちに捕らえられて踊らされ、休むことを許されず力尽き命乞いをするが、ミルタは冷たく突き放し、死の沼に突き落とす。次にミルタはアルブレヒトをも捕らえ、力尽き死に至るまで踊らせようとする。アルブレヒトが最後の力を振り絞り踊る時、ジゼルはミルタにアルブレヒトの命乞いをする。そのために時が過ぎ、やがて朝の鐘が鳴り、朝日が射し始める中、ウィリたちは墓に戻っていく。アルブレヒトの命は助かるけれど、ジゼルは朝の光を浴びてアルブレヒトに別れを告げて消えていく。



原作台本は、フランスの詩人・劇作家であるピエール・ジュール・テオフィル・ゴーティエ (Pierre Jules Théophile Gautier,1811- 1872)によっています。今では知らぬ人がいないチャイコフスキーのどのバレエ作品よりも歴史は長く、謂わばバレエ作品の古典中の古典です。アルブレヒトによるジゼルに対する愛が実は本物なのか、あるいは単なる貴族のお戯れであったのかの解釈によって振付などが変わり、今日まで様々なバレエ団が趣向を凝らした公演を繰り返しています。共通しているのは、第1幕では、現世の村の情景なので、質素だけれどカラフルな衣装と舞台背景を採用し、第2幕では夜の墓場が舞台ですから、青白いトーンに統一して死霊の世界であることを明確に区別している点でしょうか。倒れるまで踊り続けさせられる男性ダンサーの力量が公演の成否を左右する、(そして特に浮気な殿方たちにとっては)とても怖い怖い作品です。音楽が大変素晴らしいことにも、是非ご注目下さい。


第2幕終盤の見どころシーンはこちら。↓





全曲をというお方には、こちらを。↓





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