一度踏み入ったら出口の全く見えない音楽の深い森。森の中を彷徨い歩く内に出会った神々と妖精たちのお話です。

Dies Natalis
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冬のパリは、とても寒いです。


しかし、街角でふと出会う光景は時にハッとさせられるほどに美しく、この街をこよなく愛す人々が実にたくさんいらしゃることは何ら驚きではありません。


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特に観光ガイドで紹介されているわけでもない教会にふと足を踏み入れると、訪れる人も少なくて内部はとても静かです。しかし、そのような教会でも具に観察すれば、これまでの永い歴史の中で無数の人々が寄せた厚い信仰の証がそこには確実に存在していたこと、そしてそれが今日まで受け継がれて来たことを確かめることが出来るように思います。


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管理人が幼稚園児だった頃、イエス様がお生まれになった時の話を綺麗な色彩のイラストにした、今で言うなら絵本のような冊子をテキスト代わりに使い、シスターの先生が静かに子供たちに語ってくれたことを想い出します。


馬小屋、飼い葉桶、東方の三博士、・・・。


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この特別な日に際し、特別な音楽を聴いてみたいと思います。


これまでも何度か取り上げたことのある管理人一押しのイギリス人作曲家フィンジ (Gerald Finzi, 1901-1956)によるカンタータ「Dies Natalis (誕生の日)」Op.8 (1938/39年作)。曲は弦楽オーケストラ演奏だけの「Intrada」に始まり、続いて弦楽オーケストラ伴奏のソプラノまたはテナー・ソロの4楽章のカンタータから成り、全曲演奏には20数分程度を要す比較的小規模の作品です。テキストには、17世紀のイギリスの詩人 Thomas Traherne (1636/37–1674). の詩を使っており、フィンジの特色である繊細できめ細やかな、まるで錦糸で旋律を紡ぎ上げるようなオーケストレーションの妙技の効果もあって、その音楽的美しさと気高さが比類のないレベルにまで到達しています。かくして、今日残されているフィンジの数ある傑作の森の中でも、特別に重要な一作品となっています。本日は、第1曲目の「Intrada」と第5曲目「The Salutation」をお届け致しましょう。


なお、第5曲めのTraherneによる歌詞は以下の通り。 メリー・クリスマス!


The Salutation

These little limbs, these eyes and hands which here I find,
This panting heart wherewith my life begins;
Where have ye been? Behind what curtain were ye from me hid so long?
Where was, in what abyss, my new-made tongue?

When silent I, so many thousand, thousand years
Beneath the dust did in a chaos lie, how could I smiles, or tears,
Or lips, or hands, or eyes, or ears perceive?
Welcome, ye treasures which I now receive.

From dust I rise and out of nothing now awake,
These brighter regions which salute my eyes,
A gift from God I take, the earth, the seas, the light, the lofty skies,
The sun and stars are mine: if these I prize.

A stranger here, strange things doth meet, strange glory see,
Strange treasures lodged in this fair world appear,
Strange, all, and new to me: But that they mine should be who nothing was,
That strangest is of all; yet brought to pass.










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