一度踏み入ったら出口の全く見えない音楽の深い森。森の中を彷徨い歩く内に出会った神々と妖精たちのお話です。

新しい水平線
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NASAの太陽系外縁天体探査機「New Horizons」の情報サイトに掲載されている様々な写真から選びました。冥王星の衛星カロンです。なお「New Horizons」は、下記の赤字のところをクリックすると見ることが出来ます。この中のメニューMissionsから「New Horisons to Plute」をクリックすると、少し下の方にこの写真が出て来ます。

https://www.nasa.gov/mission_pages/newhorizons/

「New Horizons」は2006年1月19日に打ち上げられました。其れから約10年近くたって、ようやくいわゆる太陽系外縁部の冥王星(Pluto)に到達したことになります。これまで撮影されたどの惑星や衛星の写真も驚くことばかりですが、この写真も随分と興味深いものです。衛星のほぼ半周の長さがある巨大な谷、そして上部の方には火山の痕跡なのでしょうか、あるいは隕石が衝突した跡なでしょうか、茶色に変色した広大な高原らしき地形が見られます。サン=テグジュペリの『星の王子さま』の中でいろいろな星の絵が出て来ますが、その中の一つが現実として現れたような気がします。


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昔々、作品が書かれた時は想像の産物でしかなかったものが、後世になって意外と真実に近いものを先取りしていたことってありますよね。偶然かも知れませんが、もしかすると未来を予見出来ていたのかも知れません。人間の持つ想像力。素晴らしいと思います。






イギリスの作曲家ホルスト(Gustav Holst, 1874-1934)が作曲した人気作品、組曲『惑星』には、火星、金星、水星、木星、土星、天王星、海王星の7曲があって、冥王星が無いことはよく知られた事実です(何故か地球は初めから作曲されませんでした)。しかし、これはやむを得ないことであって、作曲された1916年当時、未だ冥王星の存在が知られていなかったのです。冥王星が発見されたのが1930年。この結果、太陽系には9つの惑星があると誰もが信じることになりました。ホルストとしてはこれは大変な心残り。弟子による補筆も含めて、何とか冥王星を8曲目として作りたかったようでしたが、結局彼の生前には完成させることが出来ませんでした。


冥王星を完成させたのは、それから大分経った西暦2000年、ホルストの研究家でホルスト協会の理事でもあったコリン・マシューズ(Colin Matthews, 1946-)という人物の手によるものでした。マシューズと聞いてもピンと来ないかも知れませんが、アーノルド・ウィットールやニコラス・モーに作曲を師事しており、マーラーの交響曲第10番の全曲版を完成させたことでも有名です。従って今日、ホルストの『惑星』と言えば、8曲目の「冥王星」を加えた『惑星』と、従来の7曲だけから成る『惑星』の2種類があることになります。どちらが良いかは人により様々ですが、先ずは「冥王星」をご存じない方のために、どんな音楽か、ちょっと聴いてみましょうか。





皮肉なことに、冥王星の公転軌道が他の天体とは異なり変則的であること、星自体の大きさが小さいこと、また最近の研究により冥王星の外側にも太陽を中心として公転する小さい天体が複数存在することなどが次々と判明し、そもそも惑星とは一体何かという用語自体が再定義されることとなり、冥王星はもはや惑星からは除外することが2006年の国際天文学連合の総会によって決定されることとなりました。敢えて冥王星を加える必要が無くなってしまったわけです。従来通り7曲だけの『惑星』の方が、作品としてもまとまりがあって優れていると管理人などは思うのですが、如何でしょうか。


それにしても「新しい水平線「New Horizons」とは良い名前を付けたものです。水平線の彼方には、未知の新しい世界が待っています。そして新しい知識が得られます。Horizonsと複数になっていることがミソです。身の周りの小さな事柄に、くよくよ、めそめそすることなど馬鹿らしいほどに、世界(宇宙)は限りなく広いです。

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