一度踏み入ったら出口の全く見えない音楽の深い森。森の中を彷徨い歩く内に出会った神々と妖精たちのお話です。

オバマ大統領の広島スピーチ
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この写真がどこで撮られたか、行かれたことのある方なら直ぐにお分かりになるかと思います。夜になると、こんな風景になるのですね。


でも、見当もつかないという方のために・・・そこで展示されていた写真を1枚。


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そう、広島平和記念資料館です。


やはり、8月6日は「あの日」にちなんだ話題を取り上げないわけには参りません。


そして、今年は何と言っても、現職のアメリカ合衆国の大統領が広島を訪れたという特別の年でもありました。オバマ大統領によるおよそ17分間にも及ぶスピーチは、被爆者の方々にとってはもの足らない部分があったかも知れませんが、歴史に残されるべき名演説だったのではないでしょうか。


そのスピーチ、テレビで放映された時も感動しましたが、最近、その全文を掲載した種々の出版物が刊行されています。英語の学習も兼ねて、そのうちの一冊を入手しました。スピーチが収録されたCDも付属しており、改めて演説の素晴らしさに感銘致しました。


スピーチは、以下のように始まります。


Seventy-one years ago, on a bright, cloudless morning, death fell from the sky, and the world was changed. A flash of light and a wall of fire destroyed a city and demonstrated that mankind possessed the means to destroy itself.


平易な日常の言葉で述べながら、とてつもなくインパクトのある文章です[*注]。


[*「death fell from the sky」という言い方が、原爆を落としたのはお前たち米国であり、その事実に対する責任の所在を曖昧にしており、しかもお詫びの言葉にもなっていない、というのが被爆者の方々からこの演説が批判されている骨子かと思われます。しかし、現職の大統領に対して過去の政治家らの所業に対してそこまでの発言を求めるのは些か酷に過ぎるのではと管理人などは思います。(特に共和党からの広島訪問に対する猛烈な反対を押し切って来られたのですから)来て頂けたことだけでも有り難いことですし、画期的なことなのではないでしょうか。この記事の最後でも触れますが、これからどのような行動を彼が、アメリカ国民が、そして私たちが取るか、未来が重要だと思います。]


改めて全文を読み直すと、実に分かり易い文章で、ところどころ辞書で確認しなければならない単語が出て来るものの、難しい単語などはほとんど使用しておりません。とは言え、流石にネイティブの人が話す英語です。次の表現(言い回し)などは、なかなかノン・ネイティブの人が実際の会話で使うことは至難ではないでしょうか。本当に勉強になります。


[take stock of : ~を吟味する]
They asked us to look inward, to take stock ofwho we are and what we might become.

[set ... apart : ...を目立たせる]
It is not the fact of war that sets Hiroshima apart.

[blind A to B : AにBを見えなくさせる]
How often does material advancement or social innovation blind us to this truth?

[give voice to : ~を言葉に表す]
Mere words cannot give voice to such suffering, ...

[roll back : ~を徐々に縮小する]
An international community established institutions and treaties that work to avoid war and aspire to restrict and roll back and ultimately eliminate the existence of nulear weapons.

[be bound by ... to do : ... によって~するように定められる]
We are not bound by genetic code to repeat the mistakes of the past.

[would rather that : むしろ~であればよいと思う]
They would rather that the wonders of science be focussed on improving life and not eliminationg it.


他にも種々の表現(言い回し)に関心するばかりですが、大統領のスピーチは次の力強いメッセージで終結します。


The world was forever changed here, but today, the children of this city will go through their day in peace. What a precious thing that is. It is worth protecting and then extending to every child. That is a future we can choose, a future which Hiroshima and Nagasaki are known not as the dawn of atomic warfare but as the start of our own moral awakening.


何と印象的、かつ建設的な締め括りの言葉でしょうか。オバマ大統領は、この広島での歴史的演説に加え、近々「核実験停止」の決議案を国連の安全保障理事会に提出する意向であるとのニュースが伝えられています。対中国・対北朝鮮政策やシリア・ウクライナ・IS問題などに関して、いささか弱腰の姿勢が見えなくもなかったですが、任期を残すところ僅か数ヶ月になってから、ひょっとすると共和党の大統領が生まれるかも知れない懸念を軽く吹き飛ばすかのように、(かつての米国大統領ならあり得ない)数々の画期的な足跡を残そうとする信念に燃えているように思えます。アメリカ合衆国史上初の黒人大統領ということよりも、むしろその人格・思想内容の面から人々の記憶に永く残る大統領になるのではないでしょうか。


最後に、ホワイトハウスが正式に提供しているオバマ大統領の広島訪問時におけるスピーチ映像をご紹介します。お時間がありましたら、英語の勉強も兼ねて、一度じっくりとお聞きになってみては如何でしょうか。





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